私は、批評家「小林秀雄」の存在を知らない人間でした。
エリート路線で進学し、優秀と言われる大学を卒業し、財閥系企業で働いていましたが、周囲で「小林秀雄」という名前を聞いたことは一度もありません。
お恥ずかしい限りです…
脱サラしてから読書が趣味になり、茂木健一郎さん経由で小林秀雄を初めて知ったのです。
読んでみると、たちまち彼の文章の魅力にハマってしまいました。
難しいというか、難読と言うか、そういう印象もありますが、文章や言葉選びへの「執念」のようなものを感じて、芸術作品の一つとして読んでいます。
今回のブログ記事では、日本の偉大な知識人・小林秀雄を知らなかった私が、その恥と若者の実情を書いていきます。
若者は小林秀雄を知らない
若者は、小林秀雄を知らない人が圧倒的に多いです。
いや、もしかしたら私の親でも知らないのかな…
とにかく、人生で一度もその名前を聞いたことがありませんでしたし、もっと言えば「批評家」という存在を知らなかった。
私も、若者世代の一人です。
(ギリギリで)
自分で言うのも変ですが、
高学歴と言われ、エリート路線で突っ走ってきました。
でも、本なんて全然読んでない。
勉強といえば参考書。テストの過去問。
休みの日はゲーム。友人とスポーツ。
それが日本トップレベルの大学生で、日本の将来を担う…とか期待されてもねえ。
別に小林秀雄さんを、誰でも読むべきだ!と言っている訳ではありません。
でも、本当に読んだことなければ、知りもしない。
聞いたこともない。
それは、問題だと思います。
小林秀雄を読むようになったきっかけは茂木さん
小林秀雄の本を読むようになったのは、ついこの間。
きっかけは、茂木健一郎の本。
茂木さんの書籍はこれまで15冊以上読んできたと思いますが、多分、10回くらいは小林秀雄の名前が登場します。
(蛍とおっかさんのエピソードです)
そこでようやく、どんな人なのだろう?
どのような意味で「知識人」と呼ばれ、多くの人からの尊敬を集めているんだろう?
と興味を持ちました。
本の虫と呼ばれるようになるほど、読書が習慣になった今頃になって、ようやく小林秀雄と出会えたんです。
逆に言えば、茂木さんの本を読んでなかったら、小林秀雄の本を読むことは、一生なかったかもしれないのです。
大学生に読んでいた本はほぼ覚えてない
大学生時代にも、読書はしていました。
大きな図書館が利用できたのだし、それなりに通って借りていました。
でも、読んだ記憶があるのはビジネス書とか、お金に関する本ばかり。
(経済系の学部なので、偏りがあって当然だったかもしれないのですが)
正直、ほとんど覚えていません。
『金持ち父さん貧乏父さん』とか、
サラリーマン大家とか、個人年金で節税とか、そんな実益的な本ばかり読んでましたね。
なぜもっと幅広く興味を持って本を読まなかったのか…後悔です。
▶【読書好き】本の虫とは何?語源はどこから?一日3時間の読書が目安【bookworm】
大学生は幅広く読書するのがおすすめ
私の後悔と反省に基づいたアドバイスです。
大学生の人は、幅広く、色々なジャンルの本を読むのがおすすめ。
本当に、切実に、後悔しています。
なぜ経済系の学部だからと言って、お金に関する本ばかり読んでたのか。
簿記とかFPとかTOEICとか宅建とか、資格ばっかり勉強していたのか。
我ながら、薄っぺらくて恥ずかしいです。
小林秀雄の『ドストエフスキイの生活』とか、そういう知性や感性あふれる、文芸というものに触れておきたかった。
人生、今が一番若いのですから、遅すぎることはないかもしれません。
そう自分を励まして、今後も、小林先生の著書を読んでいきたいです。
素晴らしい知性・知識人・名文学・名著・名作と出会う方法
小林秀雄さんは、私などが言うまでもなく、芸術的な文章を書かれています。
しかし、実際、知らなかった。
知らなければ、読めません。
素晴らしい知性や名文学や名著と出会うためには、どうすればいいでしょうか?
一つの方法としては、自分が好きな知識人の本をたくさん読むことだと思います。
私の場合は、完全に茂木健一郎。
茂木さんの本は、比較的ソフトに読破できる本から、難読なタフな本まで、幅広いです。
南直哉さんや、松岡正剛さんや、松岡修造さんとの対談本も面白い。
大学生時代に書いた児童向け物語『トゥープゥートゥーのすむエリー星』も素晴らしい。
私にとって、現代の天才的知性・知識人は、茂木先生。
その茂木先生が著書の中で何度も「小林秀雄」「夏目漱石」「養老孟司」「ニーチェ」といった名前を出します。
そうすると、茂木ファンの私としても、気になる。
小林秀雄って誰で、どんな本を書いているのだろう、と当然気になる。
ひとりのファンから、芋づる式に(ちょっと失礼な表現ですが)素晴らしい作品に出会うというのは、自分の読書の幅を広げるには最適な方法だと思います。
※茂木さんは、ブックガイド的な本も書いているので、さらに分かりやすい。
小林秀雄賞とは何?
私が小林秀雄を知るきっかけのひとつに、小林秀雄賞があります。
茂木さんの『脳と仮想』が第四回小林秀雄賞を受賞しているからですね。
小林秀雄賞とはどんな賞かと言うと、
生誕100周年を記念して2002年に創設された学術賞のこと。
日本語表現が豊かなエッセイ・評論などが対象となっています。
文章を芸術にまで押し上げたような方ですから、審査員も真剣でしょう。
私がよく著書を拝読する養老孟司さんも審査員に入っています。
今後は、第四回の茂木健一郎の本以外も、読んでいきたいと考えています。
南直哉さんの本は、素晴らしかった。
小林秀雄を知らない世代だからこそ、読む
今回のブログ記事では、小林秀雄を知らない世代の私が、茂木健一郎を通してようやく出会えた経験を書いてきました。
繰り返しになりますが、
私の周りの友人、知人で、小林秀雄を知っている人はいません。
多分、100人中98人は、聞いたこともないと思います。
恐ろしいことですが、これが現代の若者、しかも高学歴と呼ばれる人間たちの実態です。
最近の若者は何を読んでいるかと言うと、手軽なビジネス書とか、流行の小説とか、東野圭吾とか、三国志とかです。
ドラマ化されたり、映画化されたり、賞を獲得したり…
そういう本は、割と読んでいる人もいますが、そもそも読書離れの世代ですからね。
地元の友人だと、多分、年に何冊も読んでません。
読書自体に、興味がありません。
読書の面白さを知らないんですね。
だから、私が「週に2~3回は図書館に行くよ」と言うと、ギョッとされるのです。
日本人が大切にしたい日本語とか、価値観とか、審美眼とか、
そういうものが、小林秀雄の本には詰まっている。
文学的芸術品。
もっと多くの人が、日本を代表する文芸評論家&批評家「小林秀雄」の感性に触れる機会があればな…と思う次第です。
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