「ちはやふる」「ちはやぶる」という単語…なんとなく聞いたことあるけど、どういう意味でしょうか?
- 小倉百人一首の知識がある人は、在原業平の一句として
- 落語好きなら、古今亭志ん生が得意とする演目として
- 漫画やアニメ好きなら『ちはやふる』という作品として
- 広瀬すずが好きなら映画「ちはやふる」として
- Perfumeが好きなら『レーザービーム』という曲の歌詞で
和の香りがする単語ですが、本当の意味を知らなかったので徹底調査してみました。
結論としては、ちはやふるの意味は「荒々しい」「勢いがある」などですが、和歌の中ではリズムを整える「枕詞」としての機能を持っています!
実際に恋に関する歌でも使われており、特別に深い意味はないようす…?
今回のブログ記事では、「ちはやふる」の意味について、和歌やアニメを交えながら雑学的に解説していきます。
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ちはやふる(ちはやぶる)とは何?
「ちはやふる・ちはやぶる」って、現代語では使いませんよね。
元々は、「いちはやぶ」という動詞が語源。
「いちはやぶ」の意味は、荒々しくふるまうこと。
この動詞が、連体修飾語に変化して「ちはやぶる」という言葉ができたようです!
ちはやふるの意味は「荒々しい」?
ちはやふるの意味を、新編日本古典文学全集で見てみます。
- 荒々しい
- 勢いがある
これが「ちはやふる」の意味ですが、一部の情報では「長い年月を経たもの」「神々しいさま」といった解説もありました。
万葉集や古事記の和歌でも使われている
「ちはやふる」という言葉は、万葉集や古事記の中でも「勢いがある」「荒々しい」という意味合いで使われています。
古文や古典には詳しくないので詳細は説明できませんが、
どのような使い方をされていたのか、簡単な現代語訳で紹介してみます。
万葉集
ちはやぶる金の岬を過ぎたけれど、私は忘れない。志賀の水神様のご加護を。
→金の岬というのは、荒々しい難所だったのでしょう。
古事記
その国造(くにのみやつこ)が、ヤマトタケルを欺いて「この野の真ん中に沼がある。沼に住む神様は、ちはやぶる神なのです」と言った。
→荒々しい神様がいる、と脅かしたものと思われます。
百人一首で在原業平が詠んだ枕詞・ちはやぶる【恋の意味はある?】
小倉百人一首で有名な在原業平の和歌を紹介します。
- ちはやぶる神代もきかず竜田川、からくれなゐに水くくるとは
- ちはやぶる神代も聞かず竜田川、唐紅に水くくるとは
このように書かれます。
読み方(ひらがな)
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
意味を現代語訳すると…
「神代の昔にも聞いたことがない。竜田川の水の流れを深紅にくくり染めにするとは」
このように、川の流れに深紅の紅葉が流れている情景を表現しています。
そこから、恋に身を焦がす情歌として解釈されることもあります。
「激しい水の流れを流れる真っ赤な紅葉のように、私の激しい想いは、今でもあなたを愛しています」
「ちはやぶる」は枕詞で、恋愛の意味はあまりない
この在原業平朝臣の和歌の中では、「ちはやぶる」という言葉に具体的な意味はありません。
枕詞(まくらことば)って中学校で習いましたよね。
和歌において、特定の語を導くために使われる言葉で、五七調リズムを整える働きをするものです。
ちはやふる(ちはやぶる)の後には、
- 神
- 神代
- 神無月
- 宇治
- 伊豆
などの言葉が続くようですね。
在原業平の場合は、「ちはやぶる→神代」と使われていました。
枕詞には「明確な意味はない」のですが、荒々しくて勢いがあるさまは、ある意味では「竜田川」にかかっているのかもしれませんね。
古典落語「ちはやふる」という演目がある
私は落語にも詳しくないのですが、どうやら「ちはやふる」という演目があるようですね。
割と有名みたいです。
古今亭志ん生(5代目)が得意とした演目で、
先ほどの在原業平の和歌をもじって、ダジャレのように物語を作り出す話のようです。
マンガ・アニメ・映画化の「ちはやふる」
少女漫画で大ヒットした「ちはやふる」という作品も有名です。
マンガ好きの私は、もちろんチェック済。
百人一首に興味がない人でも、楽しく読めます!
主人公の名前が、千早(ちはや)。
かるた、百人一首の腕をぐんぐんと伸ばしていく、青春物語ですね。
百人一首を題材にしている漫画ということで、日本文化の観点からも話題に上がることが多く、早い段階でアニメ化・映画化がされました。
広瀬すずちゃんが、初主演をした映画ということでも注目を集めました。
作品中で語られる「ちはやふる」の意味
ちはやふるの作品中でも、意味が語られています。
↓↓
ちはやぶるという言葉には諸説あるけれど、「ちはやぶる」と「荒ぶる」を比較すると分かりやすい。
両方とも神のような力を表現していますが、「荒ぶる」のが激しく悪い神の力だとするなら、「ちはやぶる」のは正しくて清らかな神の力。
どちらも勢い強いことを表すが、性質が違う。
荒ぶるのが激しく荒々しい回転だとするなら、
ちはやぶるは高速回転するまっすぐな軸のコマ。
何が触れてもはじき返される安定した力で、まるで止まっているかのように見えながら、偏りなく力が集中している状態。
このように主人公の千早に教えてくれる友人が登場します。
(名前は忘れてしまった…)
主人公「ちはや」のイメージとぴったりです。
題材と作品名が素晴らしく、これだけの大ヒットになったのだと思います!
(もちろん、青春物語としても面白いけど)
個人的には、「のだめカンタービレ」と同じような感想。
サラっと読めて、面白かったです!
もう数年たつので、中古ならかなり安く買えますね。
【まとめ】ちはやふるの意味は”荒々しい”恋の歌にも使われる!
今回のブログ記事では、「ちはやふる」「ちはやぶる」という言葉の意味について解説してきました。
要点をまとめると、以下の通り。
- ちはやふるの意味は「荒々しい」「勢いがある」
- 古事記、万葉集、百人一首で使われていた古語
- 枕詞として使われた在原業平の和歌が有名
- マンガ、アニメ、映画「ちはやふる」が大ヒット
私も小学生の時に小倉百人一首をやってました。
当時は意味も分からずに、かるた遊びとして取り組んでいましたが、改めて見ると素敵ですね。
【ちはやぶる神代も聞かず竜田川、唐紅に水くくるとは】
情景を詠んでいるようで、愛する人への想いを表現する。
まさに、日本人的な感覚。
マンガやアニメや映画は、百人一首を知らない人でも楽しめる物語になっています!
サラっと読める青春物語ですが、ちょっとは勉強になるので、親が子供に読ませたい漫画としても注目されているみたいですよ。笑