雑記

【失敗例】ベーシックインカムに失敗した国とその理由…日本は無理?

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ここ数年、新型コロナの影響もあってあらためて注目されるようになった「ベーシックインカム」。

 

日本でも導入できるのか、海外の導入国はどんな結果になったのか…気になりますよね。

  • ベーシックインカムって何?
  • 海外でのベーシックインカム導入国は?
  • ベーシックインカムの成功例と失敗例は?
  • 日本での実現は無理?

このような疑問を、ブログ記事にまとめました。

 

結論としては、日本でベーシックインカムを実現するには、まだまだ慎重な検討が必要…というところ。

税金が上がる可能性や、働き手不足の課題などがあるためです。

 

その一方、海外ではベーシックインカムの社会実験に「ある程度成功」している国もあります。(失敗例もアリ)

 

今回のブログ記事では、海外でのベーシックインカム導入の成功例と失敗例、そして日本での実現可能性について解説していきます。

りと
りと

経済学科をでて、FP資格も持ってる私が一生懸命調べました♪

ベーシックインカムとは?

ベーシックインカムとは、年齢や性別、所得などに関係なくすべての国民や市民が、一定のお金を定期的かつ継続的に受け取れる制度です。

 

ベーシックインカムはイギリスの思想家によって提唱され、「富をみんな全員で共有・分有する」という考え方がベースになっています。

 

ベーシックインカムの概要

Basicは「基本」、Incomeは「所得」という意味があります。

日本語では「基礎的所得」や「基本所得」などと呼ばれますが、英語そのままで「ベーシックインカム」って言いますよね。

 

日本の「生活保護制度」との違いは、お金を受け取る「条件」があるかないかです。

  • 生活保護:収入面などの条件を満たす必要がある
  • ベーシックインカム:無条件で全国民に支給される

↑この違いが大きいですね。

 

ベーシックインカム導入の目的

ベーシックインカムの導入目的は、社会の格差を縮めることや、貧困を減らす目的です。

 

「生活は苦しいけど、一応働いて給料は貰えてるから社会保障は受けられない…」という人は多いですよね。ワーキングプアとも言われます。

 

また、ベーシックインカムは子どもにも支給されるため、金銭面を理由に子どもを持てなかった人への支援になり、少子化問題の解消も期待できるのです。

 

いつも生活費に不安がある人が救われたら…心に余裕が出て、国民がハッピーになりますよね。

すると、結果的に経済的にも文化的にも、総合的な発展や成熟、サステナビリティに繋がるのではないでしょうか!!?

りと
りと

制度とメリットはわかったけど…

今までベーシックインカムを導入した国ってあるのかしら?

 

【失敗例】 ベーシックインカムに失敗した国3つ

海外でベーシックインカム導入実験をしたものの、失敗した例を3つ挙げてみます。

①ナウル共和国

ナウル共和国には、豊富な資源のリン鉱石の採掘がおこなわれ、ほぼ全ての労働を出稼ぎ外国人に依存していた背景があります。

その国家収入がナウル国民に還元されるようになり、

  • 税金なし
  • 医療費無料
  • 教育費無料
  • 全年齢層に支給

という、現在考えられている「ベーシックインカム」よりも充実した制度が行われていました。

 

ただ、20世紀の終わりにリン鉱石が枯渇し、この体制を維持できなくなったのです。

 

30年に渡るこのような生活の末、2011年の統計では、ナウルの失業率は90%となってしまいました。

りと
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「働かなくてもお金が入ってきて、生きていける」という意識が根付いてしまうと、労働意欲が湧かなくなってしまうのかも…。

②カナダ

カナダでは2017年、オンタリオ州の約4000人が、無条件で毎月お金を受け取るベーシックインカム実験を行いました。

 

その規模は世界最大で、3年間続ける予定でした。

しかし、財源の確保が難しくなり、結局1年の実施で中断に追い込まれました。

 

大臣は「導入実験は費用がかかり過ぎて、オンタリオ州の家庭に対する施策になっていない」と明かしたそうです。

 

③スイス

ベーシックインカムに失敗した国とは言えませんが、世界で唯一、この制度に対して「国民投票をした国」がスイスです。

  • 賛成23.1%
  • 反対76.9%

↑このような圧倒的大差で、ベーシックインカムは否決されました。

 

やはり、「導入コストがかかり過ぎる」「労働意欲を削ぎ、国民の生産性が低下する」という意見が多かったようです。

 

ベーシックインカム導入に失敗した理由

ベーシックインカム導入に失敗した国の理由は、大きく2つ。

経済的制約

ベーシックインカムの導入には、当然ながら「大きな財政負担」が必要です。

状況によっては国家財政が悪化し、政策を続けることができなくなります…。

政治的制約

ベーシックインカムを支給する財源を確保するためには、税金や社会保障費の見直しが必要になることがあります。

そのような政治的批判により、ベーシックインカムを続けることができず、なかなかうまく導入できないのですね。

働かない人が増えるだろうという懸念も

ベーシックインカムとは、「なにも働かなくても、生きていける」ということです。

これをネガティブに捉えれば、当然ながら働かずにダラダラと過ごす人が増えるということに繋がります。

交通機関や電力会社などのインフラ、コンビニなどの24時間営業施設など、いま日本で享受できている便利さが失われてしまうことは大いに考えられますね…。

 

★世界中でベーシックインカムは見直されています↓


>>隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働 [ ルトガー・ブレグマン ]

 

ベーシックインカムの成功事例もあるが…

一方、海外ではベーシックインカム導入(実験)に成功した事例は多いです。

ただし、「成功」と言っても、あくまでも一時的な、ある一面を切り取った「成果」です。

 

その効果・メリットが評価される一方、やはり完全実施に踏み切れないのは、財源の問題でしょうね…。

 

①アメリカ・カリフォルニア州

カリフォルニア州ストックトン市で導入されたベーシックインカムは、2019年に125人の住民に2年間に渡って毎月500ドルを給付するものでした。

 

ベーシックインカムにより生活が安定することで、フルタイムの仕事を見つけやすくなったなどのプラスの効果が見られました。

 

②フィンランド

フィンランドは2017年、欧州初のベーシックインカム実験を導入しました。

失業手当を受け取っている人の中から無作為に選ばれ、2,000人の失業者が月560ユーロのお金を受け取るというもの。

 

受給者の経済面での幸福度が高まり、ストレスが軽減。

ボランティアに参加する人がいたなど、経済的余裕から世の中に対してポジティブにかかわろうとする様子も見られたそうです!

 

一方、デメリットとして懸念されていた雇用に対する影響は、あまり大きくない結果となりました。

 

③ナミビア

ナミビアは、貧困層が多く、格差が深刻化していました。

貧困緩和や経済発展のために、教会やNGOが主体となって月ひとりあたり100ナミビアドルを支給するベーシックインカムが導入されました。

 

その結果、経済活動が増加!

食糧貧困ライン以下にあった貧困世帯が、ベーシックインカム導入後1年以内に76%から37%まで減少するなど、貧困改善に効果がありました。

 

また、窃盗などの犯罪が大きく減り、治安維持の面でも一定の効果を残しました。

 

④ウガンダ

ウガンダが導入したベーシックインカムの実験は、200人弱の小さな村で、村人全員に無条件でお金を2年間に渡って給付するものでした。

 

  • お金をもらったら殺されるのではないか
  • みんな働かなくなるのではないか
  • もらったお金を男性がすべてお酒に変えるのではないか

など、悪いことを事前に考える村人も多かったとか。

 

しかし実際には、家を立てたり、生活の為の投資をする人も増え、生活の質が良くなりました。村人同志が協力しあうようになり、一定の効果を残したようです!

 

⑤ケニア

ケニアで導入されたベーシックインカムは、2016年から村の住民へ毎月約22ドルの現金を支給するという大規模なものでした。

  • 漁網と浮きを買うために使った。
  • 家畜のヤギを飼うために使った。
  • 食べ物を買うために使ったほかは、貯金した。

など必要なものを買ったりするために使われ、生活水準を向上させることができました。

りと
りと

海外ではベーシックインカムの成功例がでていますが、

それでも制度を完全に導入してる国はないんですよね…。

 

ベーシックインカム導入に向けた2023年以降の課題

ベーシックインカムを導入するためには多くの課題があります。

  • 財源の確保
  • 仕組みの構築
  • 労働意欲の減退

とくに、巨額の財源が必要となる点から、なかなか国を挙げての制度設計が難しくなっています。

 

ベーシックインカムの予算を確保するために、社会保障を廃止する可能性や、税や医療・福祉の国民負担が増加することも考えられます

 

最悪の場合、現在よりも社会保障水準が低下する結果を招いてしまうため、ベーシックインカム導入にあたっては、綿密な制度の設計が必須です。

 

ベーシックインカム、日本では無理?

ベーシックインカムは、「無条件」ですべての国民に、一定の金額を毎月給付するという制度。

日本では1.2億人に、毎月一定額のお金を支給するわけです。

 

まあ単純に考えて、、、

国家予算的に無理ですよね><

 

ただし、

  • 少子化問題の改善につながる
  • 高齢化による年金制度破綻を避けられる
  • ワーキングプアの若者の結婚や、子育ての可能性が広がる
  • 働き方が多様化し、よりクリエイティブな方向に時間を使える

などなど、現代の日本での問題の解決策の1つにもなります。

 

もともと財政上の厳しい問題を抱えている日本にとって、財源の確保が一番の問題点です。

ベーシックインカムの実現は、なかなか難しいところでしょう。。。


>>AI時代の新・ベーシックインカム論[ 井上智洋 ]

 

ただ、今後、日本でもベーシックインカム実現に向けて、「検討の波」は広がっていくと思われます。

 

【まとめ】ベーシックインカムに失敗した国と成功例…日本では厳しいか

今回のブログ記事では、ベーシックインカムについて解説してきました。

 

海外では成功した国も失敗した国もありますが、今のところ、先進国で完全にベーシックインカムに踏み切った国はありません。

 

ベーシックインカムの導入は、日本の少子高齢化問題などに対してメリットがある一方で、

  • 財源の確保
  • 労働人材不足

などの課題も残るため、しっかりと導入に向けた準備の議論を重ねる必要があります。

 

ベーシックインカムが日本で導入されるのは、まだまだ先のことになりそうですね。

スイスのように国民が考えること自体は、大事だと思いますが…!!

 

この記事がベーシックインカムについて考えるうえで、少しでも参考になっていれば幸いです。